「統合失調症の一族」を読んで

統合失調症の一族  著者:ロバート.コルカー 訳:柴田裕之 出版社:早川書房

 12人の子どものうち半数が統合失調症を発症したギャルウィン家の物語を縦糸に原因究明に尽力した研究者達と勇気を持って研究に参加した多発家系の患者家族の物語が横糸として語られる。ギャルウィン家の末娘は自身も深く傷つき(兄たちからの暴力と、両親の無関心)一度家族から離れるが、努力と理解者のサポートを得て回復し、家族の再生に尽力し、疾患研究にも協力する。

 家族内での暴力や、家族が疾患によって崩壊していく過程の描写は読み進めるのがつらくなるほどに重く、家族の暴力と崩壊の歴史を記した「心臓を貫かれて」を彷彿とさせる。

 原因について、本作中では2つの発症に関わる遺伝子が特定されている。遺伝子変異を有していても発症しないひとがいるため、遺伝子だけでは説明できないが、発症予防や治療につながることを期待したい。

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