「ローマ人の物語 1 ローマは一日にして成らず」を再読して

 「ローマ人の物語 1 ローマは一日にして成らず」  著者:塩野七生 出版社:新潮社

 古代ローマ史への興味

古代ローマの歴史に興味を持ち始めたのはいつからだろうか? 学生時代に中公文庫のモンタネッリ著「ローマの歴史」を読み、古代ローマの歴史に惹かれた。同じ頃、サトクリフの児童文学の金字塔・ローマンブリテン三部作の「第九軍団のワシ」「ともしびをかかげて」を読み、もっと知りたいと思った。その後、古代ローマ関連の本を買ったり借りたりして読んだ。今、自分の本棚には講談社現代新書の「ローマはなぜ滅んだか」と「ローマ五賢帝」、中公新書の「皇帝たちの都ローマ」がある。

 塩野七生氏が「ローマ人の物語」を書き始めたとき、自然な流れで買った。この著者の最初に読んだ本はヴェネツィアの歴史を描いた「海の都の物語」で、なかなか面白かった。「ローマ人の物語」も期待に違わず楽しんだ。続きが刊行されるのを毎年楽しみにして全巻買って読んだ。

 全巻読了後、書棚に限界があったため全巻を図書館に寄附した。手元に置いておくべき本だったにもかかわらず。
 そしていつか再読しようと思っていた。借りるか、文庫のシリーズを買うか、電子版を買うか迷い、なかなか再読する勢いがつかなかった。ある日「ローマ人の物語 スペシャル・ガイドブック」をたまたま読み返した。「ローマ人の物語」の完結後に出た本だが、思い出として手放さずにとっておいたものだ。それが再読のきっかけとなった。

 第1巻「ローマ人の物語 Ⅰ ローマは一日にして成らず」

 図書館から借りて読んだ。

 この巻の範囲は、ローマの建国から始まり、共和制への移行、ピュロス王との戦いの後、イタリア半島を領土にするまでだ。
 ローマ建国から王政廃止までの歴史は、どこまでが伝承でどこまでが史実なのかと思うが、研究書ではないので気にせず、楽しく読み進めた。
 王政から民主制に変わり、アテネとローマの政治を比較するくだりが興味深い。この巻では、古代ギリシャの歴史が数十ページにわたり書かれている。ローマ人の特性を理解するために必要な説明である。
 「スペシャル・ガイドブック」のロング・インタビューで塩野氏は、ローマ人の物語の執筆は取材期間を入れると40年以上かかったと述べている。すると、後に「ギリシア人の物語」を書く際の仕込みがこの頃からあったのだと気づく。
 最初に「ローマ人の物語」を読んで、古代の陸戦の戦術について学んだ。この巻のピュロス王との戦争で、その面白さを再度味わえた。次巻「ハンニバル戦記」でその面白さが花開くことになる。


 なぜローマが拡大し維持できたのかについての著者の考えが1巻目から示されている。ローマ興隆の理由を知るためには、この巻だけ読めばいいのかもしれない。しかし読み終えて即刻2巻を予約した。
 この巻の終わりで、カルタゴが進出しているシチリアの目と鼻の先までローマが拡張したことが記されており、すぐに続きが読みたくなったからだ。次がどうなるか知っているのだが。

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